概要

核力はフェムトスケールの量子系である原子核の存在形態やダイナミクスを微視的に理解する鍵である。本講義では、核力の基礎を数値計算を通じてハンズオン形式で学ぶ。数値計算にはPythonを使用するが、Pythonの予備知識を必要としない内容とするつもりである。また、核力が核子多体系の性質をどのように支配しているのかという点についても言及する(こちらはハンズオンではない)。

その他、参考書籍や範囲外の内容についてはこの資料を確認してほしい。

この講義の評価はレポートの提出から総合的に判断する。詳しくはレポート問題をよく読んでほしい。

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スケジュール

2025年2月26–28日

2月26日 2月27日 2月28日
第一回「核力の概観」 第四回「中間子論 I」 第七回 セミナー
第二回「湯川ポテンシャル」 第五回「中間子論 II」  
第三回「テンソル力」 第六回「カイラル有効場理論と最近の話題」  



講義内容

第一回「核力の概観」

「核力の到達距離」、「引力の強さ」、「斥力芯」などを学ぶ。ここでは精密な議論ではなく、実験事実や井戸型ポテンシャルを使った定性的な側面に焦点を合わせる。

第二回「湯川ポテンシャル」

核力の中間子論について、その導入部分を学ぶ。具体的には、中間子の交換によって核子間の相互作用が湯川ポテンシャルで表されることに焦点を合わせる。また、変分原理に基づく束縛問題の解法を習得することを目指す。

第三回「テンソル力」

核力の最も重要な非中心力であるテンソル力について学ぶ。具体的には、核子のスピン・アイソスピンを考慮して、テンソル力の基本的な性質に焦点を合わせる。また、陽子–中性子間に働くテンソル力を考え、チャネル結合法により現実的な重陽子の記述を試みる。

第四回「中間子論 I」, 第五回「中間子論 II」

核力を1 つの中間子の交換で表現したポテンシャル(one-boson exchange potential; OBEP)について学ぶ。交換される中間子の性質(質量やスピン・アイソスピン) が核力にどのように反映されるのかに主眼を置く。また、重陽子をOBEP に基づいて記述する。

第六回「カイラル有効場理論と最近の話題」



第七回 セミナー

“Uncovering the mechanism of chiral three-nucleon force in driving spin-orbit splitting”



レポート問題

  • 資料
  • 提出期限: 2025年3月10日
  • 提出方法: manabaから提出